
交通事故の被害に遭われた方にとって、「どのくらいの慰謝料や示談金を請求できるのか」は大きな関心事でしょう。
この記事では、「慰謝料」と「示談金」の違いや、示談交渉で請求できる主な項目、そして慰謝料の種類ごとの相場や増額のポイントについて、弁護士の視点からわかりやすく解説します。特に、弁護士に依頼することで慰謝料・示談金が増額できる理由(金銭的メリットや交渉力の違い)にも焦点を当て、被害者の方に寄り添った情報を提供します。
慰謝料計算に役立つチェックリストやシミュレーションツールも紹介しますので、納得のいく賠償金を受け取るための参考にしてください。
交通事故の慰謝料とは、事故によって生じた怪我による精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。一方、示談金とは、慰謝料を含め治療費や修理費用、休業損害など事故によるすべての損害を当事者同士の話し合い(示談)で合意した賠償金の総額を指します。簡単にいえば、慰謝料は示談金を構成する一つの項目であり、示談金は慰謝料も含めた全損害の合計金額なのです。
言い換えると、交通事故による損害には大きく分けて財産的損害(経済的損失)と精神的損害(慰謝料)の二種類があります。示談交渉では加害者に対し、その双方について賠償金を請求することになりますが、慰謝料は被害者の精神的苦痛への補償であり、物的損害とは区別されます。なお、物損事故(怪我のない事故)では慰謝料は原則請求できません。慰謝料は人身事故、つまり人の身体に被害があった場合に初めて認められる賠償項目だからです(※物損事故のみで慰謝料が認められるのはペット死亡などごく例外的なケースです)。
示談金(賠償金)として加害者に請求できる主な項目には、次のようなものがあります。
上記のうち慰謝料は人身事故の場合に請求できるものであり、繰り返しになりますが物損事故のみの場合には基本的に慰謝料請求は認められません。納得がいく示談金を得るためには、これらすべての損害項目について漏れなく計上し算定することが重要です。次章では、慰謝料(精神的損害)に着目して、その種類や相場について詳しく見ていきましょう。
交通事故の慰謝料は主に次の3種類に分類されます。
これら3つの慰謝料はケースによって複数が同時に発生することもあります。例えば、半年間の入通院治療後も完治せず後遺障害等級の認定が降りた場合、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の両方を受け取ることができます。また、不幸にも被害者が亡くなられた場合は死亡慰謝料が発生します(治療期間中の苦痛に対する入通院慰謝料が別途考慮されるケースもあります)。
ご覧のとおり、同じ交通事故でも、どの算定基準で慰謝料を計算するかによって最終的な金額が大きく異なります。交通事故の慰謝料額には主に3つの算定基準が存在し、示談交渉では以下の基準が用いられます。
| 自賠責基準 |
強制保険(自賠責保険)で支払われる最低限の補償額を算定する基準です。国の定める最低補償額であり、慰謝料額も他の基準に比べてかなり低く抑えられています。 |
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| 任意保険基準 |
各任意保険会社(加害者側の保険会社)が社内基準として定める算定基準です。具体的な基準額は非公開ですが、概ね自賠責基準と同程度かやや上乗せされた水準で、やはり低めに設定されています。 |
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| 弁護士基準 (裁判所基準) |
裁判例に基づき算出される算定基準で、慰謝料算定の最も高額な基準です。裁判になった場合もこの基準が用いられるため「裁判所基準」や、過去の判例データをまとめた赤い本に準拠することから「赤本基準」とも呼ばれます。弁護士基準による金額は自賠責や任意保険の基準より大幅に高く設定されており、1.5倍~2倍以上になることも珍しくありません。 |
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つまり、被害者ご自身で示談交渉をすると保険会社は低い基準で算定した慰謝料額を提示してくる傾向がありますが、弁護士に依頼して交渉すれば裁判所が認める基準=弁護士基準での慰謝料額を主張・請求できるため、最終的に受け取る金額が大きく増額する可能性が高いのです。
では、慰謝料3種類それぞれについて、弁護士基準を中心に相場感や他の基準との違いを詳しく見てみましょう。
入通院慰謝料は、怪我の程度や治療期間(日数)によって金額が決まります。特に算定基準の違いによって金額に大きな差が出る項目です。
保険会社(任意保険)が提示する金額は自賠責基準と同程度か僅かに上乗せした水準ですが、弁護士基準ではそれより数十万円も高額になるケースがあります。実際、弁護士基準の入通院慰謝料は自賠責基準の1.5~2倍程度になるケースが多いとされます。慰謝料計算の細かな方法として、弁護士基準では単に通院期間(日数)だけでなく通院頻度も考慮し、実通院日数が極端に少ない場合は「実通院日数×2~3.5」を擬似的な通院期間とするなど、被害実態に即した調整が行われることがあります。いずれにせよ、入通院慰謝料について少しでも納得のいく金額を得るためには、保険会社任せにせず弁護士基準での算定を目指すことが重要です。
後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級の等級に応じて定められています。等級は1級(最も重い障害)から14級まであり、重い障害ほど慰謝料も高額です。例えば、後遺障害1級が認定された場合、自賠責基準では1級でも1150万円(要介護の場合は約1650万円)程度に留まりますが、弁護士基準の慰謝料相場は約2800万円にもなります。3級では自賠責基準は800~860万円程度、弁護士基準では約2000万円です。また、むち打ち症の後遺症では、14級の認定が降りる場合があります。このケースでは、自賠責基準では32万円に過ぎませんが、弁護士基準の後遺障害慰謝料は110万円です。このように後遺障害慰謝料も算定基準によって何倍もの開きが出ることがわかります。
後遺障害慰謝料を請求するには、症状固定後に後遺障害申請を経て認定を受ける必要があります。等級(1~14級)の認定を受けて初めて、相応の後遺障害慰謝料や逸失利益の補償を請求できるようになります。慰謝料を得るためには、治療後はなるべく早く弁護士に相談し、後遺障害等級認定の手続きを適切に行うことが大切です。
交通事故で被害者がお亡くなりになった場合に発生する死亡慰謝料は、被害者本人の死亡による苦痛とご遺族の精神的苦痛に対する賠償金です。自賠責基準の死亡慰謝料は非常に低く、被害者本人分は400万円、それに遺族分を加えても最大で1300万円程度にしかなりません。任意保険基準も自賠責基準と大差ない水準と言われています。一方で、弁護士基準で算定した死亡慰謝料の相場は約2000万~2800万円となります。この金額には幅がありますが、亡くなられた方の家庭での立場や扶養状況によって目安が異なります。例えば、被害者が一家の生計を支える立場(一家の支柱)であれば慰謝料は2800万円、専業主婦(主夫)や配偶者であれば2500万円前後、お子様や高齢の方の場合は2000万~2500万円程度が弁護士基準での相場となります。
このように、死亡事故においても慰謝料額は算定基準によって大きく異なります。ご遺族が少しでも納得のいく慰謝料を受け取るためには、弁護士基準での算定を前提に示談交渉を進めることが重要です。「お金ではご家族の喪失の埋め合わせにはならないが、せめて加害者から少しでも納得のいく償い(賠償)を受けることが大切」との指摘もあります。納得のいく慰謝料額を得るため、弁護士の力を借りることも検討すべきでしょう。
示談交渉では請求できる項目が多岐にわたり、計算も複雑です。当事者だけで賠償金額を算定するのは難しく、本来受け取れるはずの金額を見落としてしまう可能性もあります。そこで当事務所では、被害者の方が漏れなく賠償金を請求できるよう、チェックリストや
おすすめツール
これらのツールは当事務所のウェブサイト上で無料でご利用いただけます。ご自身で示談金額を把握する助けとして、ぜひお役立てください。
「弁護士に依頼すると示談金が増える」と言われるのは本当です。前述のとおり、保険会社は独自の低い基準で慰謝料額を算定して提示してくるため、被害者ご本人が交渉した場合、弁護士基準より低い示談金でまとめられてしまうケースが少なくありません。実際、弁護士に相談・依頼することで慰謝料や休業損害が1.5倍~2倍程度に増額されるケースは決して珍しくありません。
例えば、ある事例では弁護士が介入した結果、保険会社から提示されていた慰謝料などの示談金額が約20万円から約100万円に増額し、約80万円の上乗せ(約5倍)に成功しました。また別の事例では、保険会社提示の約850万円から最終的に約1040万円に増額し、約190万円が上乗せされました。
いずれの事例でも弁護士が直接保険会社の担当者に早期回答を促すことで、解決のスピードアップを図ることもできました。
このように、弁護士は経験と法的根拠に基づいて交渉することで増額を勝ち取ることが可能になるのです。
特に休業損害については、弁護士に依頼することで計算方法の違いから増額余地が生まれる場合があります。保険会社は休業損害を算定する際、被害者の事故前3ヶ月の収入総額を暦日数の「90日」で割って日額を計算する方法をとることがほとんどです。しかし、「事故前3ヶ月の収入総額 ÷ 実際の稼働日数」で日額を算出すべきケースも多くあります。後者の方法は被害者に有利で、実働日ベースで計算することで1日あたりの収入単価が上がるため、結果的に休業損害額が増えることになります。先述のように月収30万円の会社員の場合、休業損害が約1.5倍に増額されたケースもあります。このように、弁護士にお任せいただければ、慰謝料だけでなく、その他の損害費目に関しても内容を確認しながら交渉ができるので、示談金全体の増額につながる可能性が高いのです。
さらに、弁護士に依頼すれば煩雑な保険会社とのやり取りや示談交渉をすべて任せることができます。被害者の方は治療や日常生活に専念でき、精神的な負担(ストレス)の軽減というメリットも大きいでしょう。【心理的なメリット】と【金銭的なメリット】の両面で、交通事故に精通した弁護士に交渉を任せる意義は大きいといえます。
なお、ご自身やご家族が加入する自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合、弁護士への相談・依頼にかかる費用は保険会社が負担しますので自己負担0円で弁護士に依頼することも可能です。弁護士費用特約は一般的に支払上限が設けられているのですが、当事務所はその上限を超えた部分を依頼者に請求しておりません。
しかも、この特約を利用してもご契約の等級や翌年以降の保険料に影響はありません。経済的な心配をせずに弁護士に頼れる保険ですので、該当する方は遠慮なく活用すると良いでしょう。
最後に、納得がいく慰謝料・示談金を逃さず受け取るためには早めの段階で弁護士に相談することが重要です。示談交渉の後になってから弁護士に相談しても、既に低い金額で合意してしまっていれば覆すことは困難です。事故直後から弁護士に依頼すれば、それだけ有利な条件を引き出せる可能性も高まります。まずはお気軽に当事務所にご相談いただき、適切なサポートを受けることを強くお勧めいたします。
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